2014年09月15日
becoming 3
風は毎日暖かさと冷たさを繰り返し
でも少しずつその密度をあげていく
その上 毎日夕方が長くなっていく
日の入り時間は毎日遅くなっていくことで
僕らの活動時間は必然的に増えていくことになった
森には緑が増えてきた
川の流れはなんとなく明るく滑らかになってきた
広場にも草が生え始め
それとなくどこかから虫の声が聞こえだす
田んぼには水が入り
日に日ににぎやかさを増す
秋の寂しさって そんな音が原因だったのだと
何十年も経って気がつくのだ
春はとにかく参加者が増えて
やかましくなることで
僕らも心が騒がしくなっていった
その日は何日かぶりでその広場へ行った
たまたま先に来てたやつらがいて
その子たちと一緒に遊んだのだった
さて
鬼というのは
ヒーローだ
何人で遊んでいてもいても鬼は一人
鬼が島にいた鬼は一人だっけ?
そんなことはどうでもいいのだが
その日のヒーローはずっと僕だった
最初のころは気楽な気持ち
中盤は少しの焦り
終盤は荒れた怒りと悲しさ
いじめだとは思わなかったけど
このヒーローには誰もなりたくないんだなと
あらためて確信
僕だって一度や二度ならいいけど
ずっと組織的な行動で
鬼をやり続けるというのは精神的に重かった
日暮れを前に
僕は遊びからのリタイヤを決定した
勝手にルールを破るのだ
そうすると何人かは怒る
それにつられてみんなは文句を言いだす
ただ
こちらも頑なな態度でいると
熱も徐々に冷めてくる
誰かが空を見て
もう帰ろう とつぶやいた
こうなると全員が
家への郷愁にかられだす
一人二人と駆け出す広場
じゃーな と言い合って
それぞれに散っていく
僕もほっとしながら
家に帰った
でも いやな気分は続いていた
とても変な気持ち
悔しいのか悲しいのか
僕らの友達の持ち回りの感情
これがずっと続けられると
いじめたことになる
僕のまわりでは「いじめ」なんて名詞
まだなかったような気がする
動詞だよ
いじめるいじめられるいじめたいじめない
そんなことは中学校にあがるまで
考えなかったけど
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