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2014年11月30日

僕の時間 2

僕の時間 2


僕がここにいるのは
彼が呼び出したからだ
「おい 暇か?」
「それなりに」
そこで何を思ったか彼はここを指定した

街の端にあるこのモールの周りは
荒野や砂漠が続く
何本かのフリーウエイの高架が
空に刺さる弓矢のように伸びている

カルバードライブのインターから
それこそ五分で突然現れるこのマチ
そこから少し海に向かって走ると高級住宅街だ

僕はスタンダードなピックアップで駐車場の端に停めたのに
彼はあんな大きなトラックで堂々と中まで入りこんできたのだった

パームツリーの植え込みが整然と並んでいる
その周りには芝がびっしりと茂っていて
時折 自動でスプリンクラーが作動する

乾いた風はそれらにプレッシャーをかけることなく
軽く軽く吹いている

「元気だったかい?」
「ああ お前はどう?」

「ま それなりさ」

彼のそれなりはきっと良くない
普通の時はサイコーだって騒ぐし
いい時などは連絡もなしに家へやってきて
僕をあの大きなトラックに乗せ
3ブロックほど先にあるメキシカンレストランで
昼間からテカテを思いっきりあおるのだ

そして昼下がり
バンドマンたちがディナータイムの準備を始めると
早く始めてくれと 大きな声でせがむのだった

もちろんそんな遅くまでいない
さっきまでのリクエストなんかすぐ忘れて
近くのプールバーへ行こうとするのだ

もちろんハンドルは僕が握る
調子のいい時の彼はあぶなっかしい奴だ

きょうは調子よくなさそうだな
僕は少し気づいていた

クールなふりをして
マルボロのミディアムを下を向いてくわえる

「腹減ったな」
「そうだね 何か食べようか」

彼と僕は目の前のバーガーショップへ行った
男二人でいくんだから こういうとこのほうがいい
へたにレストランなんかにいくと
怪しい関係のような目で見られるから

彼はオニオンをレアにして
ピクルスをたくさん乗せるようオーダーする
いつもの好みだ
変わってる

僕はすべてミディアム
彼はそれがおもしろくないようで
「お前はいつもママに頼んで買ってきてもらうんだろ?」
とからかうのだ

僕らは大きな紙袋を持って
広場の真ん中あたりにあるテーブルの並ぶなかのひとつに座った

相変わらず風は軽く軽く吹いている
日差しはまもなく傾き始めるから
少し寒くなる
でも今日はいい気持ちの日だ

人は絶対たくさんいるのだが
あまりに広いこのモールでは
密集度は低く それほど騒がしくもない

僕らは最近のそれぞれの出来事を
何気なく話した
仕事は最近暇になってきている
違う仕事なのだがこのところの不景気は
お互いに影響していることもわかった

そんなことを話しながら
コーラも半分以上のんだころ
彼がふとつぶやいた

「この前とても不思議なことがあったんだ」
「なに 未来の啓示でもあったのかい?」
「そんなんじゃないさ 実はな」
彼は急に低い声になり
周りをチラッと見まわした

「最近 誰かが俺のことを見ているような気がするんだ」
「おい 悪いことしたんだろ?」
「そうじゃない いつもじゃないんだけどな
うちの周りにその形跡があった」
「ふ~ん それはどんな人?」
「お前 それがわかったらお前になんかいわないよ」
「まあ そうだけど 誰かも分からない人が どうして
見ているってわかるの?それは男?女?」
「それが女なんだ」
彼は先日の話しをし始めた

それによると
彼が仕事を終えて家に戻ると
ガレージの前に鉢植えが置いてあった
彼はたぶん誰かが隣の家と間違えてるんだろうと
思い
隣人に尋ねたが誰も知らないという

そしてまた数日後 鉢植えが置いてあった
気の毒に思った彼はガレージの前に
「きれいな花をありがとう でも私の家では
ないと思うよ」と書いた紙を貼っておいた

それでもまた数日後 鉢植えが置いてあり
「あなたはこの花を受け取る価値があります」
と書いてあった

それから鉢植えは置かれてなかったが
昨日の帰りにはなかった鉢植えが
今朝ガレージの前にあって
彼は少し気味悪くなって僕をこんなところに呼び出して
落ち合ったということだった

「こういうモールなら紛れていいだろ?」
なるほど彼らしい
でも彼のトラックはとても目立つのだ
どこに行っても分かると思うのだが

しかし不思議な出来事だね
僕たちはいろいろなことを想像した
しかし証拠もなく
どれも一方が言うと片方が否定する
結局 何もわからず

陽も傾き 僕らはメキシカンレストランに行くことにしたのだ
彼の調子は実は良くって
でも態度は普通以下の時のそれだったから気にしていたんだけど
僕は少し安心した

to be...











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この記事へのコメント
何かハードボイルド小説みたいで良いすね。前も言いましたがラダさん文才ありますよ!私は何時か作家になりたくて日々本を沢山読んでますが、書くほうは才能ないみたいで泣けてきます。うらやましいですよ。そをそう14日にお店でLIVEやります。文才よりは音楽才の方が何とかあるきがしてますので、よかったら見に来てくださいね。
Posted by マグマグ at 2014年12月01日 23:14
マグさん
ありがとうございます。さて今後の展開や如何に!(^_^) ライヴいいですね♪行けるといいなあ
Posted by びらーだびらーだ at 2014年12月04日 18:25
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