2015年12月10日
ちょっとそこまで

朝早くに目が覚めた。
眠れないわけではないが 静かに目覚めてしまう
いつの間にか睡眠時間の占める割合が
少し減ってきていると感じる
人生への愛しさは
目覚めている時ばかりではなく
音も光も匂いもなく ただ眠る中にもある
体の縮むような冷たい風と
夜が来るのを切望してしまう
曇り空に
どうしようもない無力感が湧いてきた
ドアのキーに手を伸ばすには
もう少しばかり何かで勇気を
呼び起こす必要があった
何キロか何十キロか
離れているところまで
冷たく固くなったままでは
口を動かすにも努力しなくてはならない
もう一度目を閉じて
いつもより深く呼吸をした
グレーに濃く塗られた影は
目をあける毎に短くなった
だが 光の矢がその角度を変えるほど
濃度を増して
地面に貼り付いていったのだ