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2014年12月11日

流星の確率

流星の確率


雨になった
うっすらと雲が宇宙と僕との間にはさまって
和室でいえば僕の前にあるふすまを閉じられた状態のようだ
向こうの部屋では誰かがひそひそと話をしている
とても聞きたいのだが正座をしたその場所から
どうしても動けない
ただ静かに耳を澄ましながら足の痛みと戦う
そんな感じだろう

その日も簡単な昼食をすませて外に出た
午前中はとにかくやらなくてはいけない事がたくさんあって
どれから手を付けていいのかもわからず混乱していた

結局は何もせずお昼のサイレンが遠くから流れてきて
諦めたのだ
何もせぬままに何年も過ぎるとどうなるだろうかと
時折考える

結構よからぬ考えではあると思うが
あれもこれもやりながらは何年どころか何十年も続けてきたので
その反対も検討に値するのではと思ったのだ

近くの会社を訪ねた
社長さんに用事があり事務所のドアを開けた
やはりというか
中にいた人たちが一斉にこちらを見る

そういう時でも決まり事のように
入り口に一番近いひとに声をかけることになる
あれ?その人はこちらに視線をくれることなく
机に向かっている
どうすればいいんだろう

その人だけに聞こえるほどの声で
こんにちはと言ってみる

次にごめんなさいと言わなくてはいけない
僕のシナリオはそう書き換えなくてはならない
というくらい 真面目な顔でこちらを見た
その一番近い人

社長のことはもうどうでもよくなった
やはり何もしないでおけば良かったなと
反省する

いやそれではいけないですよ
とても大切なお話があるんです
それは僕だけに大事ではなく
お互いに明るい未来の可能性を大いに秘めた
お話なんです

と言いたいところだが
来客中です
とわかった途端に
それは失礼しましたと

無礼を恥じるしぐさで
頭を下げながら事務所を出た

また再戦か
違う
これは戦いではない
お互いの友好のための第一歩なんだと
考え直す

雨が上がったが雲は一段と低かった
時折忘れたように細い雨粒が目の前を横切る

傘を差し歩く
こんな小道具があるのだからと
右肩に傘の柄を乗せくるくると回す
こんな日は
明るい気持ちを回る傘で表現するのだ

知っていることを情報という
知らせない情報を秘密という
知りたい人がいるから秘密になる

何も知らないことはそのどちらにもならない
そして それを知るとき それをニュースという
きっと圧倒的に知らないことが多い
どれだけものを抱えていくことができるのか
ブレーン宇宙論を熱く語っても
目の前にある野菜の名前がわからなくて教えてもらう
これも新鮮なニュースなのだ


雲一つない夜の空を見上げる
天候の変わるスピードは風の速さ
流れ流れ向こうからやってくる雲が無くなると
空にはきれいな星が浮かんできた

探したわけでもないが
流星がひとつやってくる
その確率は高いのか低いのかもわからない

しばらくは期待して
次の瞬間を待っていたが
もう細く小さく引かれた銀糸は見つけられなかった




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