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2014年09月03日

bugs

bugs


玄関をでて正面に小さな小屋がある
農機具や使わない季節のものを放り込んである
小屋の前はコンクリートで覆ってあるので
雑草などは生えてくることはない
小屋の入り口は少し大きな引き戸になっている
用事がなければ何週間も閉じたままだ

小屋の前面に平行に溝が通っている
雨水がそこを流れ逃げていくようにしてある
溝の上には板がほんの少しの隙間を開けて
並べてある

小屋の入り口の横
壁に沿うように壊れかけた木のベンチ
いつのモノかわからないほど
ペンキは剥げ 腰かけると
右左へ悲鳴を上げながら揺れる代物だ

最近は雨が多かった
一日中降るわけではない
明け方に降ってみたり 昼から黒い雲とともに
やってきたり

そんな中で気分もあまり芳しくない
勿論 さまざまな出来事の中で
喜怒哀楽は回っていたが

時折光の筋が降りてくる
久しぶりに雲が高い
それでも特に感動するわけではない

しばらくぶりに小屋の前の椅子に腰を下ろす
身を任せるわけにはいかず静かに体を預ける
不安定な椅子の足はますます症状が進み
傾きは以前より大きくなっているようだ

一通りまわりを見渡す
目の前にあるのは腰ほどの高さの塀
その向こうには畑が広がり
塀越しに見えるのは遠くを走る鉄道の
小高い丘
左の方には細い道路
時折車も通る

目を足元にやった
小さな虫が歩いている
子供の頃には軽くつまみ上げていた
何の気もなしに

じっとその虫を追う
同じところを回っている
動き止まりまた動き
何を探しているのか

虫で生きていくのであれば
一生は探すためにあるのだろうと
ふと思った

探さなくてもよいものを持っていることが
平静な心のもとになっているのかとも思った

虫は突如歩みの向きを変えた
小屋の前を通る溝のほうに歩く
溝の上には板が並んでいる
ほんの少しの隙間をあけて

板の上に乗った虫は動かなくなった
しばらく足だけを時々小刻みに動かしている

その間にベンチの奥にそっと座りなおした
少しだけ椅子は悲鳴をあげた

空を見上げる
急に明るい光に軽いめまいがした
深く呼吸をしまた目を落とす

虫はまだそこにいる

ほんのひと時ののち虫は動きだした
板と板の間には隙間がある
浅い溝だが隙間は漆黒で塗られているようだ

その虫はその隙間に静かに入っていった
ためらうことなく歩を緩めず入っていった

真っ黒な板と板の隙間に消えていった

しばらくその隙間を見ていたが
何も起こらなかった

その虫を探しているのは自分だった

もう一度座り直し
顔を上げた
また光が目に刺さり
軽い嫌悪感と罪悪感が
浮かんで消えた







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この記事へのコメント
びらーださん♪

おはようございます。
初めまして。弥平のゆんちぇです。

先日はご来店くださり、ありがとうございました(^^)
ご挨拶が遅くなり、すみません。

びらーださんが来て下さった日は、お店には出ていなかったので、お会い出来ず、残念でした(>_<)
またお会い出来たらいいなと思います(^^♪
びらーださんのステキなブログをこれからも楽しみにしています♪
ありがとうございましたヽ(*^^*)ノ
Posted by 弥平弥平 at 2014年09月08日 10:16
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