ラダ

時間というのは都合よくはしてくれないものだ

静かにただ確実に老いをつれてくる

ぼんやりとした朝

一人で朝食をとった

昨日のことがいまだ整理できていない

結局　何しにここに来たのだろう

起きたとたんに心が波立って

きっと怖い顔で食べていたんだろう

ホテルのウエイターが

おはようございます

今日はどこに行く予定ですか？

と聞いてきた

思わず笑ってしまった

遠い地での気遣いは沁みる

部屋に戻り支度をして

ホテルを出るころにはすでに太陽は

真上近くになっていた

今日は午後から彼と彼の奥さんと会う予定だ

一日おきに会うというのは不思議な感覚である

今夜は彼らとディナーの後　オペラに連れて行ってくれるというので

少し緊張していることも関係しているのかもしれない

今夜はあまり仕事の話をするのはやめておこう

こうやって気を使うのは　たぶん我々日本人の特異な面だろう

何も始まってないのにガイドラインを決めてしまっている

僕だけではないと思うが

ファンタジーについてクリエイティブな考えが足りないと感じる

今夜観るオペラもそうだろう

このあたり　力と力の差を検証しようとする時に

何をベースに掘り起こしていくのかが決定的に違ってくるのだろう

そんなことを考えながら過ごしているうちに

待ち合わせの時間が近づいてきた

今日も晴れ

天気のことをいつも気にしていることも

僕らの気性だ

それだけでうまくいくと浮かれたり　沈んだり

環境に振り回されやすい人間だ