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2014年07月12日

after 5

after 5


香辛料の香りがする店内はすでに半分以上

お客でうまっている

今夜は彼がセッティングをしてくれている

世界的に有名な彼と わけのわからない外国人

僕はますます 不思議な気分になった

ワインで乾杯をした

「どうしてこうやって君に会う気になったかわかるかい?」

サラダが運ばれ 一口食べたとき

日常の話から彼はハンドルを切った

いや 切ってくれたのだろう

僕はきっかけをつかめなかった

やはり僕も同じだったのか

終わったことや今さらなどの言葉

意味を見出し 未来への糸に結び付けること

それは必要なのか

テーブルの影に隠れていつまでも見つからない宝石のように

僕はずっと思っていた

彼はそれをわかっていたかのように

ストレートに話してきたのだ

「いや 本当のところはわかりません

僕の休暇に合わせて・・・」

「もうそれはいいんだよ 君の考えていることは

何となくわかる でも誰もが必要としていることでもない

君自身の問題だろう

私はすすんで話すタイプではない 過去のことに

理由付けもしたくない

これは君の国の文化から学んだことだよ」

「はい では 私の考えていることも

すでにわかっているのですか?」

「ああ 大体はね そうやって言ってきたのは君だけだ

君の国は

今は新しい歴史を作ることに懸命になっているからね

敗戦の将から学ぶことはないだろう」

「いや そんなことはありません

僕はただ あなたにスイッチを切ってほしかったんです

まだ自分の中では終わってないというか終われないというか」

「はは スイッチは自分で切り替えなさい

私は君とこの休暇を楽しもうと思っているだけさ」


僕は自分の意図をすでに読み取られていたことに

恥ずかしい気持ちになった

そしてそれ以上に気が楽になった

自然に それが一番だ

彼の選んだディナーは最高においしかった

ワインと肉や魚の料理を楽しみながら

長い時間を淡いキャンドルの光が揺れる

この店で過ごした





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