2014年07月03日
season
あ~ あそこしくじっちまったよ
ライトや聴衆の熱が残るステージ横で
彼は片目を閉じ 苦笑いを浮かべながら言った
よかったよ それに全然気づかなかったよ
他のメンバーは そんなことよりも
大きなことを成し遂げた高揚感に浸っていたい気持ちの方が強かった
あれからしばらく
あの時の白い壁の店はもうない
知る間もなく閉店していた
消えていくことを惜しんだ人たちに送られたのだろうか
それとも突然 何も残さず消えたのだろうか
どちらにしても
ずっと
その世界から 自分の存在が無くなっていたのは間違いないだろう
いや 外へ置いたというか
一人ひとり
何かを見つけ そこへ誘われていく
冷たい風の吹き始めた浜辺のように
いい加減 自分もどこかへ行かなきゃって気になった
なんでそこにいなかったんだろう
きっと誰かいたはずだ
また 賑やかな季節が来ている
知らないうちにあたり一面きれいに染まっている
そんなことも当たり前のように気にもしない
世界の有様と 動き回る数字
ドアを叩く訪問者への関心で一杯だ
雨が降って感じることは
花に水をあげなくてもいいかなってことくらい
大きく息を吸った
水たまりで弾ける雨の粒
もう少し夏は続く
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