ラダ

　


単身赴任二年目、また暑い夏がやってきた。
ほとんど会社とアパートの往復だ。慣れはない。
感情を揺らさず静止させておけば毎日を乗り切れる。何してるんだろう。
夏はその躍動感とは裏腹に孤独を際立たせる。
そんな日々のある帰り、ふと気づいた花屋の前、小さな鉢の中で咲く花に吸い込まれた。
その夜、テーブルの上で小さく静かな花にコップで水をやる。
自分に贈る花は綺麗なだけではなかった。
もうすぐ帰る。携帯に手を伸ばした。