2013年07月19日
Detroit Rock City
かつてのビッグシティ
時代は残酷にもその町を暗闇に引き込んだ
静かに静かにその姿を変え
最後には人までも狂わせてしまった
善悪で語るのは簡単だ 比較はジャッジを明確にし
その天秤に乗っていないと思っている奴等は盛り上がるのだ
地平線に消えそうなところまで続く煙突の列
サイレンの音に町全体が動く
巨大なベッドタウン 数えきれないほど続く庭
夕闇に浮かぶ窓からもれる家族の笑い声
若い男は身重の妻が待つアパートメントへ家路を急ぐ
オイルの染みた作業着と帽子
夜も消えない工場のライト
フリーウェイを連なるトレーラー
パブでビリヤードに興じながらビールをあおる若者
TVのベースボールに熱狂する親父たち
ラジオから流れるカントリー
町のはずれの夜景がきれいな高台で寄り添う恋人たち
裏通りで独り言を通りに落としている老人
日曜の朝 教会で
束の間の祈りに生まれ故郷を思う夫婦
熱があったスピードがあった音があった
何かがどんどん生まれてくる高揚感があった
50年の時は 誰にも知られず背後に忍び寄っていた
マイホームタウン
親たちはこの街にやってきた 俺たちはこの街で生まれた
帰る街はここだ
ずいぶんと静かになった工場のサイレンが遠くで鳴っている
街中にも人は少ない
建物の間の暗い路地から動きの鈍い目が見つめている
レストランは早めにシャッターを下ろす
夜も昼も変わったマイホームタウン
もはや自分の力では歩けない
軒先のポーチに腰かけ 遠くを眺めている
力に満ちていた頃をおぼろげに探している
もうすぐ日付も変わる
明日さよならだ
もう帰ってくることもないだろう
どこでもいい
ホームタウンを探しにいく
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