2012年05月04日
みどりの日
Doors
雨も上がって
日のさしはじめた
コンクリートの道を歩く
何か時間が決まっているわけではない
駅に着いたら来る電車に乗るだけだ
少しずつ
水と温度と光が
増えて上がって長くなり
道端のコンクリートの切れたところから
たくさんの緑が
伸びてきている
揺れる草からは
さっきまで降っていた雨の粒が
きらっと光って
葉のかげに落ちていく
歩くこともいやになるほど
春の風は
頭の中を吹き抜ける
ふと 立ち止まり
顔をあげた
そういえば
足元を見ながら歩いていた
空にはまだ鉛を残した雲が
右から左へ 流れている
そして振り返る
両側に 緑を抱えた
まっすぐな道
なぜかひらめき決意がわいた
来た道をもどろう
そして あの曲がり角までいったら
違う道を歩いてみよう
遅くはないと 言う
いつからでも大丈夫だ
そういうものだ
後戻りする力があれば
いま立ち止まるここに
分かれ道 三叉路 四つ角が
ないのなら
同時に
前に進むことも考える
駅は近い
でも
ホームに立って
すぐに電車がくることも
期待していないのだ
そのまま振り返った方へ
歩き出す
雲は左から右へ流れる
コンクリートは乾いてきている
両側で揺れる緑も
雨粒は葉からさよならし
とても軽やかだ
違う道だ
後戻りは
違う道を選ぶこと
時間はずっと回っている
電車の時間はわからない