2012年05月01日
Father and Son
ずーっと道が続く
あまりに同じ景色で
結局はたいして記憶もない
いくつかのガスステーションを過ぎ
小高い岩山のかげにある町に入った
通りには いくつかの店
アスファルトには埃がうっすら
タイヤの乗る二本の筋が町はずれまで続いている
ガソリンのゲージはまだ大丈夫の位置
知らず知らずにスピードが落ちている
自分で決めたわけではないのに
町で唯一っぽいスタンドに
惰性ではいっていった
目の中に射し込んでくるような光で
店の中は真っ暗にみえる
ドラム缶がいくつか
コンクリートの壁に並んでいる
キーンとしたガソリンのにおいがする
ずっと香りのない中を走ってきているから
頭の中に入り込み
クラッとする
しかし うれしく思う
今は こんなことでほっとできる
僕の燃料計はガス欠寸前だったのかもしれない
Johnny Cash
この後の 広大な景色が
やはり頭に残っていない
これほど 焦がれて来たこの地も
遠く住んできた あの町の風景と
あまり変わらないということか
自らを放り投げることで
解放なんて言葉じゃなく
肌から そして心の芯から
同じ温度 湿度 風 光
匂い 音
同体化していくのだ
水と熱湯を混ぜると 徐々に
お互いのいいところに落ち着くようなもの
さて
ここから 探さなきゃいけない
自分に強烈に刻み付けるもの
いつまでも鮮明によみがえるもの
時間をかけて刻んでいく
焼き付ける
それほどに
心はかたいものだ