2015年07月29日
7月29日の記事
冷蔵庫を開ける
冷気が白くなり滝のように流れ出てくる
お茶をとりだしコップに注ぎ一気に飲み干す
カラダの中が一瞬冷えて
少しだけ落ち着いた気分に戻る
道路に蝉がはりついていた
死んでいるのかと思ったら
ジッと声を出して飛んでいった
曲線を描いて右や左へ
そして見えなくなった
昼間は長いけど一日は短い
パラパラとページが倒れていくようだ
温かくなった洗濯物がゆらゆらとぶら下がっている
視界の端に入ってくる光が気になった
目を落とすとコンクリートの中の雲母
何十年もかけて出てきたのか
またいつか剥がれていってしまうのだろう
一日は鮮明だけど
一年はおぼろげ
明日も晴れの予想
2015年07月28日
7月28日の記事
陽はまた昇る
街中へちょっとした買い物に出かけた
小さな通りにある駐車場へ車をいれ
少し歩いて商店街へ向かうのだ
車を降りたとたんに じわっと汗がにじんできた
まさに太陽とアスファルトで挟み撃ちにあった
通りを歩く人はまばらだ でも汗まみれなんて感じではない
爽やかな顔をして歩いているように見えた
自分だけがこの灼熱の中にいるのでは決してなかったのに
一人だけ別世界でもがいているようだった
きれいに磨かれたウインドウの店の前を歩く
眩しいほどの太陽がスポットライトになり
自分の姿がそのウインドウに浮かび上がった
颯爽と背筋をのばし リズムよく歩いていると思っていたのに
背を曲げて 傾きながら 顎を出して
苦々しい表情の人間が写っていた
思わず目をそらした
ああ
隠していたはずのものは
無機質な平面の前で 無様に
核心をさらけ出していた
夏の太陽のせいだ
太陽のせいにした
明日も陽は昇る
何を考えても過ぎていく
何をしてもなる様になっていく
そして明日も陽は沈んでいく
次のチャンスに 備えるためか
真っ暗な闇がそれでも救ってくれるのは
陽が昇るのを待っているからなのだろうか
少し無理をして背伸びをしてみた
ぎしぎしと骨の組み合わせを整える
遠くを臨む
顔を上げたら 陽が沈んでいった
2015年07月24日
7月24日の記事
陽がまだ低いころからどこで蓄えて来たのか
力に満ちた暖かい風が足元にからみついてくる
シャツの下で静かに汗が流れていく
コインランドリーの乾燥機の前に座り
整然と並んだ丸い窓を眺めていた
どこの誰かも知らないのだけれど
生活が回っていた
力なく窓の向こうで静かに重なっているのもあった
誰かの汗のあとが回る
誰かが流した涙のあとが回る
僕の持ってきたひねくれた思惑も
踊るように軽くなっていく
僕の窓も
前触れもなく動かなくなった
でもそのまま丸い窓を眺めていた
ふたつ左にある窓も静かに止まった
少しだけ香りを残して
僕の思惑は蒸発していた
川に続く道をゆっくりと上がると
光に溢れた川面がずっとむこうまで伸びていた
川下りの幼い日は
湿り気を帯びて 目の奥で点滅した